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幅:9.6cm 奥行:9cm 高さ :10.2cm
― 高みへと立ち上がる造形、白釉に浮かぶ土の詩
本作「藁白釉湯呑」は、西端正様による、赤土と藁白釉の出会いが生み出す静謐な美を湛えた作品です。高さ約10cmという堂々とした立ち姿は、湯呑としては稀に見るスケール感をもち、造形そのものが鑑賞に値する力強さを放っています。
外面には藁白釉がたっぷりと施され、流れるように厚く掛かったその様子は、まるで白い滝が赤土の岩肌を伝って流れ落ちるかのようです。釉薬の中に鉄分の黒点が自然に現れ、白の中にリズムを生み出しています。釉の境目から露出した赤土が、まるで山の地層のように器の力強さを引き立てています。
器は六角形に近い凹凸を持ち、上部にかけてやや波打つような自然な口縁が特徴的です。人の手で包むように成形された跡が、土の柔らかさと作家の感触をそのまま留めており、工業製品にはない温もりを宿しています。口縁の高低差があることで、飲み口の感触にも変化があり、手に取るたびに新しい発見があります。
内側にも藁白釉が施され、表面よりもさらに滑らかに、乳白色の世界が広がっています。鉄粉の斑点が器内にも散りばめられ、茶を注いだ際にはその陰影が水面に映り込み、美しい視覚効果を生み出します。まるで器の内側に小さな宇宙が存在するかのような奥行きがあります。
この湯呑の最大の魅力は、丹波の赤土と藁白釉のコントラストが織りなす色彩の緊張感です。釉がかからず現れた赤土の質感は、粗さと艶やかさが共存し、釉面の滑らかさと対照的な手触りを楽しませてくれます。その表情の違いは、見る角度や光の当たり方によって大きく変わり、飽きることなく鑑賞できます。
この「藁白釉湯呑」は、湯呑としての機能を超えた、彫刻的な美しさを湛えた作品です。西端正様の手仕事と素材への深い理解が見事に結実しており、日常に静かな芸術性を添える逸品です。高さと量感を持ちながらも手にすっと馴染むこの湯呑は、まさに使うたびに感性を刺激する器です。
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